統一地方選挙の前半の山となる、都道県知事選挙投票前日。特定候補を支援すると「文書図画(ぶんしょとが)」の違法配布に引っ掛かる恐れがありますが、特定候補の批判なら問題はないとか(参考「落選運動とその活動についての法律問題」、「落選運動の勝手連?〜 「選挙運動」の定義」)。一刻も早いネット選挙の解禁が求められます。
と、4年前の「人種差別主義者・石原慎太郎氏を阻止せよ」とほとんど変わらない書き出しで始まりました。政権交代したにもかかわらず、ネット選挙解禁、未だ果たされていません。
で、今回は地元の知事選をさて置き(もちろん投票には行きます)、大急ぎで東京都知事候補の石原慎太郎氏を落選させるために、少しでも助けになればと書きます。
対立候補は、小池晃氏、東国原英夫氏、渡邉美樹氏、谷山雄二朗氏、ドクター・中松氏、山口節生氏、雄上統氏、中村克氏、古川圭吾氏、杉田健氏です。
理由は4年前と同じですが、今回はさらに付け加えます。
石原氏の原発推進は、完全に都民の、私達の命を脅かしかねないからです。
選挙予報によると、石原氏の圧勝の勢いという記事もありましたが、とんでもない話です。
なお、今回の記事は、ツイッターでのさえずりの加筆修正か主となります。
2011[平成23]年3月11日14時46分18秒、三陸沖でマグニチュード9.0の大地震が発生しました。この東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の、4月9日15時現在確認された死者だけで12898人を数え、行方不明者を含めますと、27000人を超えます。
改めて、被災された皆様にお見舞い申し上げます。また、亡くなられた皆様、遺族の皆様に、謹んでお悔やみ申し上げます。
さて、石原氏です。東日本大震災での津波の被害について、「日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」と言い出しました(朝日新聞官邸クラブ「副長官番A)節電の要請に訪れた蓮舫・節電啓発担当相と会談した石原都知事。」)。
それについて問われると、石原氏「被災された方にはですね、非常に耳障りな言葉に聞こえるかも知れませんが、と言ったんじゃないですか。言葉を添えてますよ」。共同通信記者「わかりました。以上です」、石原氏「正確にね、君、人の言うこと聞いて、正確に聞き取って、正確に報道して貰いたいね」(「首都圏連合に関する記者会見(石原慎太郎東京都知事主催)」30分あたり。発言部分のみは「石原都知事 天罰発言」)
お望み通り、出来る限り忠実に石原氏の発言を書き起こしましたが、ただでさえ地震でクソ忙しい時に、まったく困った人です。「耳障りかも知れないが、お前の事を思って言ってるんだ」と言いたいようですが、なぜ津波の被害に遭うと、都知事に説教されなければならないのでしょう?
流石に石原氏も、15日に発言を撤回し、お詫びしました。しかし、「「天罰」という言葉が、添える言葉が足らずに、被災者の皆様、国民・都民の皆様を深く傷つけたことから、この発言を撤回し、深くお詫びいたします。(下線引用者)」(「平成23年3月15日更新 東北地方太平洋沖地震・東京都知事発言」)。本心から「天罰」を引っ込めた訳では無い事は明白です。
たとえば、私が「東京を震災が襲わなかったのは(実際は7名の死者が出るなど、少なからず犠牲があったのですが、あくまで例として)、天罰など存在しないからだ」と言ったとしたら、それにどんな言葉を添えても、都民の皆様は納得されるでしょうか?
いや、88年前に起こった関東大震災。あれは、東京人の「我欲」による物だったのでしょうか。阪神大震災は? スマトラ島沖地震、チリ地震の大津波は?
呆れた事に、昨年のチリ地震で津波警報が発令された時に、石原氏は警報を無視して、東京マラソンを続行させていました(「中井発言に石原知事「バカなこと」東京マラソンで場外バトル 2010.03.03」)。幸い、この時は何事もなかったのですが、石原氏はマラソンを成功させたいという「我欲」で、参加者や観客達を、危険にさらした事になります。
その反省も無しに、東京を預けさせて良い物でしょうか。
「東京に原発を」というのは広瀬隆氏の(皮肉込みの)台詞でした。
現に、東京電力の原発は、福島第1(大熊町、双葉町)と第2(富岡町、楢葉町)、柏崎刈羽(新潟県柏崎市、刈羽村)と、いずれも首都圏から離れています。東電の管轄外に施設を作り、都心までわざわざ送電しているのです。
しかし、石原氏も2000年、日本原子力産業会議の講演で「東京湾に立派な原子力発電所を作ってもよいと思っている」と言っていたそうです(原子燃料政策研究会機関誌『Plutonium 29号』)。
機関誌名からして冗談と言いたくなりますが、ともかく『Plutonium』編集長は「政治家としての先見性にあふれたこの積極的な発言」と喜んでいました。
確かに、原発の安全性が保証出来るなら、もっとも電力消費量の多い、東京に建設した方がいいに決まっています。コンピュータRPG『魔界塔士 Sa・Ga』の「都市世界」のように。
が、結果は御覧の有様です。
事故からまもなく1ヶ月になろうとしているにもかかわらず、未だ放射性物質の流出が続く福島第1原発。
現在20q圏内が避難指示、30q圏内が退避勧告の対象となっていますが、圏外でも飯舘村などが、危険性を指摘されています。
しかし、事故13日目に発売された、『週刊文春』3月31日号で、石原氏はこのように主張しました。曰く、「また、この事故で原子力発電そのものを否定してしまえば、日本は自らの将来を断つことになる、ということを忘れてはなりません。今回の地震の大きさと津波の大きさは、誰も想定していなかったものでした。原発関連技術で、世界をリードしている日本にとって、今回の事故を大きな反省材料とし、さらに安全対策を進めることは、人類全体への貢献でもある。資源のない日本がエネルギーの活路を求める先は、原発しかないことは明白です。」(「石原慎太郎直言!「菅民主党はまったく政府の役割を果たしていない」」」。もちろん、実際の発言はもっと前です)。
反論。福島第1原発の危険性は、たとえば共産党は、2006年の時点で何度も指摘していました。(「2006年4月18日(火)「しんぶん赤旗」 福島第一原発
津波時の対策ただす 取水問題 吉井議員ら視察」、「2010年3月1日(月)「しんぶん赤旗」 チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ 対策求める地元住民」)
そればかりか、国際原子力機関(IAEA)も、2008年に福島第1は、津波に耐えられないと警告しました。IAEAは原発推進の国際組織ですから、言い訳は通用しません。(「2011-04-01 15:14 サイモン・ブラッドレー, swissinfo.ch」)
ひとたび事故が起これば、このように広範囲に被害を与える原発を、積極的に推進する必要がどこにあるのでしょうか。実際、火力発電も止まっており、これが電力不足の一因になっていますが、もちろん避難勧告は必要ありませんでした。
東京都庁から30q圏内が避難対象になったら、と想像してみて下さい。
「原発無しでは電力が足りない」との反論が予想されますが、2003年、東京電力の事故隠しの結果、原発を止めて点検した事がありました。
その結果、特に電力不足は発生しませんでした。無論、酷暑等電力消費の伸びる場面では事情は変わるでしょうが、「原発の代わりは有り得ない」状況ではないのです。
当面は残った発電所で凌ぎ、太陽光、風力(騒音は、海上で発電する事でほぼ解消されます)、潮力、地熱と言った他の発電を推進して行けばよいのです。
原発事故は、あまりに失う物が大きすぎます。
前回も書きましたが、石原氏には文学者として表現規制をするような真似はしないのではないか。このような期待が見られました。
しかし残念ながら、私が懸念していた結果になってしまいました。
2010年12月15日。青少年育成条例改正案が、都議会本会議で、民主、自民、公明、創新4党の賛成、共産、生活者ネット、自治市民'93の3党の反対の結果、賛成多数で可決、成立しました。
この事は我流のすき焼き鍋更新情報、2010/12/15の項で触れました。
その後、震災を理由に「東京国際アニメフェア2011」は中止されましたが、それ以外の状況はまったく変わっていません。
差別発言についても一言。クリスチャン・ディオールのジョン・ガリアーノ氏が、人種差別発言のため解雇され、起訴された事件がありましたディオール解雇のガリアーノ氏を訴追、パリコレは予定通り 2011年 03月 3日 16:10 JST(ロイター)。有罪となった場合、最大で禁錮6ヶ月と罰金2万2500ユーロ(約255万円)を科される可能性があります。
森巣博氏はかつて、欧州では人種差別発言をすれば「檻の中でしゃがまなければならない」と言っていました(森巣博・姜尚中『ご臨終メディア』集英社新書、『朝日新聞』2002/6/2「私の視点」)。
当時は森巣氏の発言は、どこかで本気にしていなかった部分があったのですが、実際に自由刑もあると知って、まったく事実そのものを述べただけなんだなと今さらながら思いました。
そして石原氏です。
日本とフランスの違いは承知していますが、同じ差別発言(4年前挙げた「中国人の民族的DNAを表示するような犯罪」云々など多数)をしながら、方や刑事被告人、方や未だ人気絶大の、首都の首長。
あまりにもこの差は酷すぎます。
どうか日本と世界のために、そして子供達の未来のために、石原氏の当選を阻止して下さるよう、東京都の有権者の皆様に申し上げます。
乱文、失礼しました。
管理人 K・MURASAME
2011/04/09 23:56