「住所無くして参政権無し」の無道


 何じゃこりゃというニュースです。
『日本経済新聞』3月30日号「大阪・あいりん地区、2000人の住民登録抹消──労働者側は反発(3月30日)
 住民票がないと、参政権を使えません。つまり、選挙に出ることも投票することも出来ません。かいつまんで言えば、日雇い労働者などが便宜上の場所に住民票を置くことを認めていたのを剥奪したと云うことです。
 山本ケイ氏の「釜ヶ崎・住民票問題の本質を問う」(『JANJAN』1月11日)、「釜ヶ崎2000人の住民登録、大阪市が削除、前代未聞の措置」(同、3月31日)などによりますと、これまで、大阪市の日雇い労働者などは、便宜的に釜ヶ崎(あいりん地区)の「釜ヶ崎解放会館」などに住民票を置くことを黙認していました。
 裏返せば、このような便宜を受けられず、公民権を奪われた家無き人々も少なからず居るということです。釜ヶ崎にも、日本橋にも、南千住にも、秋葉原にも、笹島にも、その他の土地にも。
 ところが、上記記事の通り、大阪市の関淳一市長は住民票の削除を発表。大阪市議会選挙告示前日の3月29日、削除を強行したのです。
 家がないから選挙権は認めません、そんなバカな話がありますか。


 しかし、ホームレスへの敵意はかなり強いようです。試しに検索した上位のサイト「謝る前にケツを出せ」(ゆーいち氏)より。

(引用者注:2006年1月、大阪地裁の判決で、山内勇志氏の公園のテントへの転居を認めよとする訴えを認めた件について)
いかにもロボットのような思考しかできない地裁判事が出したような判決。
判決でしっかり「占有権は認められていない」としてあるので
実際アホな判決だけれど、提起事由が「公園に居住していても生活の実態があれば、
住民登録は可能である」という事みたいなので民法に沿えば妥当な判決だとは思う。

ところがこれを聞いて思わず(゚Д゚)ハァ?と思ってしまうように、これを占有権があると勘違いしがち。
占有権が無いと人が住んでいけないなら、国民の半分ぐらいは住民票取れなくなる。(中略)
まぁ確かにホームレス以外の一般人の住民票の有効性を根底から破壊する画期的な判決だけどね。 (中略)
様々な境遇のホームレスがいる事は重々理解しているが、身の程をわきまえろと言いたい。
本音を言ってしまえばこの思い上がったドタマをぶったたいてやってもいいぐらいだ。
戦後の朝鮮人の手口そのままだな。(引用者注:強調は原文ママ)

 思い上がっているのはあなただ。ホームレスの多くは失業者なんですが…。いやそれ以前に、こうした暴言が当たり前に吐かれる日本って、何なんだろう?
 それ以前に、ホームレスの住民票を認めると、家ある者の住民票が脅かされるという発想がどうして生まれるのでしょうか。
 「ホームレスに住民票(大阪地裁)公園テント住所転居届OK」にホームレスに関する発言をしたBlogリンク集がありますが、家無き人への悪罵がかなりの数を占めます。「普通に高い家賃を支払うなどして住居を確保している一般人をやっていることがばかばかしくなってきますね!」と非難する人は、自分が家を失い、公民権を奪われ人間扱いされない事態が来るかも知れないという想像力はないのでしょうか。日本は普通選挙の国ではなかったのですか。この裁判、2007年1月の大阪高裁では山内氏の逆転敗訴となり、最高裁に上告しています。これへの感想も、住民票がないと公民権を剥奪されるという重大さを考えずに、判決を支持する意見が見受けられました。
 先の日経の記事にも、住民票を消されると「就職に不利になったり、運転免許証が取得できないなど生活に支障が出る可能性がある。(強調引用者)」と書かれています。何のことはない、大阪市は人の働く道をさらに奪い、お前ら死ねと言っているも同然です。
 こんな無道が認められて好いはずがありません。
 法律では居住実態のない人は公民権を認められないというのであれば、そういう法律こそ改正すべきでしょうに。少しでも多くの人が幸せに暮らせるよう願うのは、当然じゃないですか…。


管理人 K・MURASAME       

2007/04/03 02:13     


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