第21回参議院選挙公示を前に 生きている尊厳


 始めに。野党は反対のための反対ばかりしているとか、批判ありきで建設的ではないとか云われる方は、こちらを見て下さい。話はそれからです。

参議院「第166回国会本会議投票結果」*142回以降の結果も見られます
民主党「民主党が取り組んだ主な議員立法(第164回通常国会)
日本共産党「いま語ろう 共産党 筋を通し現実政治動かす

 また、法案を提出するには、衆議院では提出者1人+賛同者20人(予算案は50人)、参議院では提出者1人+賛同者10人(予算案は20人)が必要です。
 従って制度上、単独で法案を提出する事が許されている党は自民、民主、公明の3党のみです。制度の不作為を放置して、「野党は対案を出さない」と言う側は不勉強か、さもなくば嫌がらせです。
 また、こういう法律上の不備を報じようとしないマスコミにも腹が立ちます。


 私は盗聴法廃止を最大の目標として、「盗聴法について考える」のサイトを運営して来ました。
 そして盗聴法ばかりでなく、個人情報反古法、教育基本法、そして今政府が成立を狙っている共謀罪法案に至るまで、様々な法律・法律案。そして、イラク侵略などの政策を批判して来ました。

 盗聴法成立から、まもなく8年になります。
 私は8年間、廃止を願って盗聴法問題に粘着して来ましたが、状況は悪くなる一方です。そればかりか、「テロ対策」を名目にした共謀罪法案や、宇宙からの盗聴など、宇宙の軍事利用を目的とした「宇宙基本法」など盗聴の拡大。
 最初は、携帯電話や電子メールの盗聴が懸念されていました。今はどうでしょう。オンラインゲームやmixiなどのSNS"Social Networking Service"。まあ、これらは私は未経験なので経験者の意見をお願いしたいのですが、こうした外部からのある程度の独立が前提となっている通信技術が、全て盗聴法の対象にされています。
 あなたの「マイミク」が盗聴の対象にされているとしたら。しかも、盗聴の対象にされたからといって、犯罪者とは限りません。そうした事態に直面した時、あなたはどうしますか?
 2007年の第166回国会だけでも衆議院で14回、参議院で4回(1回は、委員会質疑を強制的に打ち切らせる「中間報告」による本会議での可決)強行採決を連発。人間の尊厳を踏み潰し、政府(=自分たち)の手足と思いこむ、安倍政権の感覚。
 「国民は権利ばかり要求する」という時、安倍氏やその仲間達は、権利を人間が生まれながらにしてもっている自然権ではなく、自分たちが有り難くも与えてやっている権利なのだと思い込んでいます。知らず知らずのうちに。

 私がこれらの法案や、政策に反対する理由は何度も説明して来ました。詳しくは「はじめに このシリーズを書いた理由」を御覧頂きたいのですが、かいつまんで言えば自分の内心に土足で踏み込まれるのが嫌なこと。表現・結社・集会の自由への弾圧。ぶっちゃけて言えば、私の大好きな、漫画やゲームや小説やルポルタージュ、同人誌即売会(これだって「集会」の一種。コミックマーケットの成り立ちを調べてみて下さい)、その他の表現が「治安維持」などもっともらしい名目で踏み潰されるのが嫌な事。蛇足すれば、デモ(許可制なのは案外知られていないと思う)や反戦ビラへの弾圧は、絶対に表現にとって他人事ではありません。
 そしてもう一つ。彼らのやり口が、あまりに理不尽だからです!
 私が安倍氏や自民党が嫌いだから反対しているのだろうとか、彼らの足を引っ張って邪魔したいのだろうとお思いならば、とんでもない思い違いです。
 確かに、私はキャラクターとして安倍氏は好きません。もっと言えば、好きな政治家なんてそうそういません。けれども、それとこれとは話は別です。
 小渕、森、小泉、安倍と続く政権が実際にやって来た事、これからやろうとしている事。それがまちがっていると思うから反対しているのです。どうかこの事をお見知り置き下さい。
 そして、盗聴法を廃止すれば、少なくとも間違いの一つは正す事が出来ます。また、安倍政権が自らの過ちを認め、政策を改めるならば、自民党に投票する用意はあります。


 理不尽な実例は多過ぎて切りがありませんので、二つだけ挙げます。今年の第165国会は、安倍内閣は6月23日までの日程を12日間延長し、7月5日までにしました。この影響で、参議院選挙投票日が7月22日から29日に延びました。
 会期延長で、国政選挙の投票日が変えられたのは、旧憲法下は知りませんが現憲法下では史上初です。しかも、与党は6月30日までに法案を成立させ、残る5日間は無駄になりました。

 参議院選挙は、もちろん多額の金が掛かります。既に準備を始めていたのに、急に期日を変更したのですから、これまた大変な手間と金が掛かりました。(『毎日新聞』6月22日号「参院選:投票1週間ずれ込み…3都県14市町で印刷物修正」、『讀賣新聞』6月21日号「「学校が工事中」「当日は花火大会」日程変更に自治体悲鳴」)
 さらに、7月29日は既に大多数の学生にとっては夏休みのまっただ中。加えて、夏祭りなどの行事のまっただ中でもあり、参院選のために日程変更や、施設が使えなくなるなどの混乱が各地で起こっています。

 思い起こせば3年前、イラクで邦人人質事件があった時、被害者には「自己責任」「自業自得」と凄まじい罵声が浴びせられました。まともに助ける気も無かった癖に、救出費用20億を支払えだの、株価下落による損失は6兆だの(gori氏「April 9, 2004 イラクで拘束邦人が日本に掛けた迷惑料既に13兆5千億円」など)と、微に入り細を穿ちリンチし抜いた人々は今回何をやっているのか。
 決めつけてしまいますが、何もしていないでしょう。人助けに出す金と、政権の勝手な都合で日程を変えさせられた金と、どちらが無駄金かは一目瞭然。
 一体久間章生氏に限らず、彼等は身内の失策をどれほどかばって来たでしょうか。一方で、そうでない人々にはことさら「自己責任」を問い、つらく当たって来たのは誰でしょうか。もうたくさんです。

 もう一つはこれです。内閣総理大臣の諮問機関である、「規制改革会議」の提言。論評するのも嫌な内容なので、内容と責任者のリンクだけ貼って置きます。最低の人達です。
脱格差と活力をもたらす労働市場へ
〜労働法制の抜本的見直しを〜 平成19年5月21日規制改革会議
再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォース
(PDF)」
委員名簿


 選挙に投票したから、急に変わるわけではありません。棄権したから、急に変わる事もないでしょう。
 けれども、国家を代表する議員をんでげる。そして、代表に相応しくない人物をふるい落とす。いずれも、本当に大事な事です。
 そして、変えるにしろ、変えないにしろ、選挙に行かなければ意思表示は出来ません。それが、議会制度というものです。何もしなければ、存在自体無かった事にされてしまうのです。

 賛成するにしろ、反対するにしろ、まずは選挙に行く事です。
 私の、MURASAMEの、上野良樹の言う事を信じろなどと、大仰な事を書くつもりはありません。私は方々で失敗を繰り返して来ましたし、迷惑も掛けて来ました。誰がお前の言う事など聞くかと思われても仕方がありません。

 しかし、安倍政権が、あるいは他の党がそれに取って代わったなら、何を行おうとするのか。彼らが今まで何をやって来たのか。その事は投票に際し、第一に考えなくてはなりません。
 これはあなたの問題です。
 ですから、候補者や政党に、あなたの方から積極的に問いかけて下さい。また、候補者の考えを、自分の目と耳で確かめ、考えてみて下さい。参考までに、末尾に立候補予定の全政党・政治団体と、公式サイトのある党派はそこへのリンクを用意して置きました(追記。15の政党・政治団体が候補者を立てました)。
 その結果自由民主党を選んだというならば、それはあなたが自分で決めた選択です。私にとっては、選挙に行かない事が何よりも恐るべき事態です。
 参政権は国民の権利であり、義務です。既存の候補者に飽き足らないなら、積極的に提案して約束させたり、いっそ自分で出るという方法もあります。有るものは、使わなければ損です。

 いずれにしろ、私は私たちを、みんなを、おもちゃにする連中の好きにさせるつもりはありません。
 私たちは、モノじゃないから。


第21回参院選立候補予定の政党・政治団体(五十音順)
維新政党・新風
議員を半減させる会
9条ネット
共生新党
公明党
国民新党
社会民主党
自由民主党
女性党
新党日本
新党フリーウェイクラブ
世界経済共同体党
日本共産党
日本スマイル党
民主党

*「議員を半減させる会」への問い合わせは、須田喜久夫代表が社長を務める株式会社全通で受け付けています。高崎商工会議所による情報は「高崎商工会議所・取引情報・(株)全通」。

管理人 K・MURASAME       

2007/07/12 02:49

最終更新 2007/07/15 04:28

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