讀賣ジャイアンツオーナー渡邉恒雄君不信任決議案


最終更新2001/12/18 只今、賛成者104名。
一次賛成者名簿付き・不信任決議案ファイル(一太郎文書版)
一次賛成者名簿付き・不信任決議案ファイル(リッチテキスト文書版)

 ファイルの末尾に付録として、コミッショナー事務局の住所がついています。意見を伝えるのにお役立て頂ければ幸いです。その場合、先方に対し礼を失する事の無い様、十分注意して下さい。また、これらのファイルは近日一旦削除し、何れ別の場所に再掲する予定です。
 このファイルは、筆者がWindows環境のため、Macintosh他の皆様には対応出来ず、使えない恐れがあります。申し訳ありませんが、あらかじめ御了承下さい。

はじめに

 この「讀賣ジャイアンツオーナー渡邉恒雄君不信任決議案」は、「あんち読売のページ」(びっく氏)の掲示板での書き込みが元です。
 2000[平成12]年11月20日、森内閣不信任決議案が提出されるのを記念して、この決議案を作ってみました。「今日、森内閣が不信任される。どうせなら渡邉氏も」と興奮しながら書き込みました。
 下の決議案文で詳しく書きましたが、渡邉恒雄氏は読売ジャイアンツのオーナーとして、それ以前に操觚者(ジャーナリスト)として、悪質な行動を繰り返しています。
 戦前活躍した操觚者の宮武外骨(1867[慶応3]〜1955[昭和30])は官僚などへの過激な批判やギャグ、パロディー記事で知られていますが、彼の大きな批判対象の一つが「ユスリ新聞」でした。「ユスリ」が特太ゴシック(環境により見られない事が有ります)なのは、彼の編集した『滑稽新聞』(とあるが実際は月2回刊の雑誌)で特注の極太活字を使っていたのに倣ったものです。
 『滑稽新聞』第33号(1902年8月1日号)では「ユスリの種類」と題して解説しています。
 宮武氏はずばり、「ユスリは社會の木鐸否ボッタクリ主義の脅喝取財を指す」と指摘しています。そして

(上野注:ユスリで)其の身の安全を図るには必ず刑事巡査俗称探偵結託せなければならぬ、これは斯道の極秘である、

 と。「新リーグ構想」など、すぐ相手を脅す。あるいは政治の力に頼る。まさにこれは渡邉氏の行為です。彼は最悪のユスリ記者であり、讀賣新聞社はユスリ新聞社といえます。渡邉氏が日本新聞協会の会長なのですから、ユスリに犯され切った日本ジャーナリズムの病状は深刻です。
 この決議案は、出来る限り大人し目に造った積もりでしたが、見ての通りあるわあるわ。しかも、この後も、アマ球界と「プロ球界が五輪に協力すれば、高校生の逆指名も可能にする」という密約があったとして、高校生の逆指名を認めろと主張するという騒動を起こしています。言うまでも無く、ジャイアンツはオリンピックに選手を派遣してはいないのです。
 さらに、日本プロ野球選手会会長の古田敦也氏(ヤクルトスワローズ)が2001[平成13]年度からの試合数増加に対して労働強化になるから反対とした上で「増加分をセ・パ両リーグの交流試合にする」という妥協案を提示したのですが、渡邉氏は「ストをやるなら時期を決めないとフェアじゃない。ポンとやられたら徹夜で切符を買ったファンは一揆を起こすぞ。古田君なんか殺されちゃうんじゃないか。古田君と若い弁護士2人がプロ野球界をひっかき回している」と発言、露骨に古田氏を脅迫しました。しかもこの発言はさほど問題にならなかったどころか、江本孟紀参議院議員が古田氏と選手会副会長の小宮山悟氏(横浜ベイスターズ)が「人一倍恵まれているにもかかわらず自分の権利ばかり主張するような選手」(『週刊宝石』2000年12月28日号「経営者は権利主張ばかりの古田を解雇する覚悟も必要だ」)で有るとして解雇を主張するなど、明らかに渡邉発言に呼応して選手会を攻撃する者さえ現れる始末です。もう、切りが有りません。

 なお、森内閣不信任決議案についてです。ところが、森内閣打倒をぶち上げた加藤紘一氏と盟友の山崎拓氏は逃亡。野中広務自民党幹事長らの切り崩しに遭い、加藤派から森内閣信任に寝返るものが相次いだからでした。結局、森内閣不信任決議案は、加藤・山崎派から森内閣信任に寝返った者を含め、賛成190、反対237で、否決されました。
 元々野中氏と親しかった古賀誠氏は率先して寝返っただけでなく、自ら加藤派の切り崩しに奔走。そのかいあって、野中氏の後任として、自民党幹事長に昇格しました。まさに、裏切りの報酬といえます。他にも元々そりの合わなかった池田行彦氏や宮澤喜一氏はもちろん、加藤氏の政権構想のまとめ役だった丹羽雄哉氏。あるいはやはり加藤氏の側近であった堀内光雄氏まで寝返った事で、事実上決着は付いていました。
 これらの反加藤派は、19日に東京・白金のホテルでアンチ加藤の集会を開き、気勢を上げていました。今思えば、私が元々の原稿を書いていた時点で、事は終わっていたのです。それでも、加藤氏の逃亡という無様な落ちが無ければ、或いは結末は変わっていたかも知れません。無念です。
 なお、反加藤派は自らが本家「宏池会」(派閥の正式名)であると僭称し、2001[平成13]年1月31日、ついに堀内光雄氏を会長に据えて独立しました。加藤派の国会議員は衆参合わせて62名ですが、衆議院34名、参議院8名、計42名が参加。しかも、加藤派にも留まらず、様子見を決め込んでいる者も衆議院4名、参議院6名と少なくありません。ああ…。

 さて、「あんち読売のページ」では、大変好評でした。そこで、自分のページにも転載する事にした訳です。また、転載に伴い、件の掲示板で反応してくださった方々の許可を得て、賛同人として名前を書き込んでいます。ただ、本物の内閣不信任決議案を真似た関係上、表記は「賛成者」となりました。御了承下さい。
 いずれ内容をもう一度手直ししたいですが、都合があるので少し遅れると思います。
 また、決議案の日付は、当初書き込んだ時のものです。


  讀賣ジャイアンツオーナー渡邉恒雄君不信任決議案

 右の議案を提出する。

  二〇〇〇(平成十二)年十一月二十日

      提出者
       上野 良樹
      賛成者
       3OUTs爆砕・世身売り虚塵
       反ヨミウリ帝国主義オプション!!
       てるてる燕獅子YSL
       鷲野やyasu
       びっく阪神1番
       でんぷんフリークトラキチ。
       あららぶちにゃおん
       ROUTE385ガルウィング・サブマリン
       EEPROM打倒大日本帝国巨人軍
       ポチ一徹@やわらかアンチ墨田支部  燕卓の騎士
       心のアンチタイガースマスク
       ブルードラゴンパック
       ホージーホーナー砦野
       レッドホットBNR50
       必殺おしおき人深谷の鷹党
       来年の清原赤ひげ
       ナベツネ讀賣が日本を滅ぼす頑張れ君
       まいこハレのちハレ
       政人諸葛寛
       獣王42福原太陽
       赤増えるクン
       toshiポリス同盟・彩の国
       おぐりびーピカチュウ
       衛ん皇帝くたばれ!読売グループ
       ん!
       阪神ファン維新志士
       南海よ永遠に!魔神BOO
       クレイジー・クレイマーとらきてぃ
       代打屋Zガリクソン
       11球団のファンあんちYG
       越中燕党(高校生)天秤打法
       いときんホッシー
       ひさびさ国砕政治学者・四智 万応
       謎の情報屋44号りょう
       なつぞうBEN
       非ジャイデュプリー
       だいこん大門団長
       ソニックレグルス
       地獄大元帥ピロシ
       ブリーチャー・バムDAI
       コイノボリCOOL
       アルファRED SOUL
       スーパーレッドアンチ巨人
       辻人生霧野商店野球部長
       S-PAIアンチG,アンチ日テレ
       どうもナベツネカがねえ…くみんこ
       藤田宗一におまかせ馬鹿奇世原は大阪の恥
       パートリッジ
       トークン元F33安田
       あうあう影丸
       魎皇鬼南海の美少年
       bluejays503サンダーボルト

    ―――――――――――――
   讀賣ジャイアンツオーナー渡邉恒雄君不信任決議
 我々プロ野球愛好者は、讀賣ジャイアンツオーナー渡邉恒雄君を信任せず。
 右決議する。
    --------------------------
     理 由
 渡邉恒雄氏が讀賣ジャイアンツのオーナーに就任し、間も無く四年が過ぎようとしている。
 渡邉氏のオーナー就任は一九九六(平成八)年十二月十六日だが、実際には一九九一(平成三)年五月に渡邉氏が讀賣新聞社社長に就任して以来、ジャイアンツの実権を握っている。
 この間、讀賣ジャイアンツはFA、逆指名制度を利用し、各チームの主力選手や即戦力の人材をかき集め、将来の人材育成を怠り、目先の勝利のみを追い求めて来た。
 そもそもFA制は、大リーグでは選手の人権を保障するものとして生まれた。
 野球協約上、選手は移籍の自由が無かった。その為これを人権侵害と見た選手が法廷闘争に出た。一度は敗れたものの、今度は野球協約の抜け穴から「一年間契約を結ばなければ、その後自由契約になる」と主張するものが現れ、一九七五年十一月、調停によりそれは認められた。その後、オーナー側との妥協により、FA宣言までに六年を要するという内容の、FA制が成立したのである。
 一方日本では、「十年選手」制という、FAに近い制度が元々あった。これは、入団から十年経てば、選手は移籍する球団を自由に選べ、または球団は選手にボーナスを支払う必要があった。国鉄スワローズの金田正一投手が讀賣ジャイアンツに、あるいは西鉄ライオンズの豊田泰光内野手が国鉄スワローズに移籍したのは、この制度の利用例である。
 しかし球団側は、ボーナス請求を嫌い、「十年選手」制を廃止、ボーナス請求権を剥奪の上、球団の選手保有期間を、十四年に延長した。それは選手生命の長さを考えるなら、事実上移籍の自由の剥奪に等しかった。
 讀賣ジャイアンツは、江川卓投手を獲得する際、野球協約の抜け目を利用し、ドラフトによらず強引に江川氏を獲得するという挙に出た。その際、ジャイアンツ側は「自由競争では無いドラフト制度の人権無視」を根拠に己を正当化しようとした。
 しかし、「十年選手」制の廃止に際し、讀賣ジャイアンツが人権を理由に反対したことは全く無かったのである。
 ともあれ、曲がりなりにもドラフト制度の導入により、セ・パ十二球団の戦力均等と契約金高騰の阻止という目的は果たされた。
 ところが、これによりジャイアンツはかつて程圧倒的に強い存在では無くなった。しかしジャイアンツは人材育成を進めることよりも、江川事件に象徴される様に、目先の勝利の為に即戦力を強引に取ろうとすることを止められなかった。
 日本のFA制度はそのようなジャイアンツの、特に親会社の社長である渡邉氏の意向に基づいて作られた。人権救済ではなく、ジャイアンツへの人材引き抜きを促進する目的で導入が許されたのである。
 渡邉氏が人権を軽視していることは、今年、選手会が代理人制度の導入を要求した際、「今年限り」との条件で認めて置きながら、十一月三日、オーナー会議で承認した直後、記者に対しこう話した内容でも明らかである。
「巨人には(代理人を連れてくる)選手はいないだろう。(もし連れてきたら)交渉の席にはつくが、そういう選手に対してはオレから(球団代表に)『あいつの給料をカットしろ』と言うよ。それで、五〇〇〇万、六〇〇〇万(年俸が)増えると思ったら大間違いだ。五〇〇〇万を三〇〇〇万に下げるだけだ。それがイヤなら自由契約だ。(巨人に)入りたいやつはいくらでもいるんだ」
 自分もオーナーの一人として承認して置きながら、代理人を使えば給料を減らすという。この発言は、労使間で取り決めた交渉のルールを反古にしようとするものであり、労働組合法第七条に定める不当労働行為、すなわち合法な労働組合の活動を理由に選手を不当に扱おうとする意志があると見做さざるを得ない。現に、この渡邉氏の発言により、ジャイアンツの選手はもちろん、他球団の選手にも、明らかに萎縮を齎した。代理人制度の有名無実化を狙い、そしてその意図は半ば実現してしまっているのである。選手の人権を害していることはもちろん、オーナー会議の議決を否定する発言でもあり、他球団を蔑ろにした行為と言わざるを得ない。
 また、今シーズン中も自チームの清原和博内野手が負傷すると「優勝の要因が増えた」と発言するなど、監督やコーチの頭越しにチームに介入し、配慮の無い発言を繰り返した。
 その一方で、上原浩治投手の交通事故、杉山直輝捕手(既に退団)の強制わいせつ致傷事件、江藤智内野手の強制わいせつ疑惑など、一連の不祥事があったにも関わらず、今期ジャイアンツが日本一となると、「これだけの成功を収めてくれたんだから、少々の失敗もあったが帳消しだ。どうってことはない」と発言した。
 十一月十三日発売の『週刊現代』はこう指摘する、「上原の車にはねられた被害者は、まだ治療を続けている。杉山に胸をさわられたり頭を殴られるなどした被害女性の精神的な傷も、癒えたわけではない。「帳消し」などという傲慢発言に、被害者たちがどれほど傷つくか、このオーナーは、まるで思いが及ばないのである。
 人権無視も甚だしい。」と。
 だがこれとて、選手を大事にしたからとは言い難い。杉山元捕手は、結果的には起訴猶予で、西武ライオンズの松坂大輔投手のような罰金刑すら受けてはいない。もし「選手を守る」というのであれば、何故逮捕された当時、まだ推定無罪の時点で解雇し、一方で上原氏や江藤氏はチームに残留出来るのか。しかも逮捕されていない江藤氏はともかく、上原氏は交通事故でやはり罰金刑を受けているのである。そこに見えるのは、今後とも活躍が期待出来るであろう上原氏や江藤氏を残し、そうとは言い難い杉山氏を切り捨てようとする姿勢である。そこには被害者に対する真摯な姿勢も、また本気で選手を守ろうとする姿勢も見られない。球団を己の玩具にしていると断ぜざるを得ない。渡邉発言は、その象徴である。
 渡邉オーナーの悪影響が、ジャイアンツ一球団に留まるだけならばまだ良い。
 しかし、FA制度や逆指名制度の導入は、人権救済、あるいは活躍に恵まれない中堅級の選手が他球団で活躍の場を求めるというプラスの効果は殆ど見られず、ジャイアンツによる露骨な人材引き抜きの道具と化している。
 これを渡邉氏を初めとする人々は「企業努力」で有ると正当化する。
 しかし、ジャイアンツによる野放図な人材の引き抜きは、折角の有能な人材が飼い殺され、その一方で若手が試合に出られず、人材育成の阻害という悪影響を齎している。しかもジャイアンツは、古くから「他球団で活躍されるよりは、自分のチームで飼い殺した方が良い」との方針の元、みすみす有能な人材の活躍の場を奪って来た。また他球団が、苦労して人材を育成しても、金の力で引き抜いてしまう。まさに企業努力を無にする行為であり、これらの行為による球界への悪影響は、甚だしいものがある。
 また、日本のFA制度自体が、大リーグに比べ、より選手不利に、そしてジャイアンツ有利に作られている。
 大リーグではFA宣言が出来るまでの期間が六年だが、日本では当初十年、現在でも九年。しかも大リーグでは実年数である上、小リーグ、つまりマイナーならば五年で済む。それに対し、日本の場合は年間一五〇日の一軍登録日数のみしか日数に数えない。出て行かれたくない選手を二軍に落としてしまえば、永久にFA宣言出来ない仕組みなのである。
 その一方でジャイアンツは、他球団の選手に頼って置きながら、生え抜き意識は人一倍強く、未だ他球団出身者を監督に据えようとしない。金と人気で他球団の選手を引き抜いても、最終的には切り捨てるのである。また、これはジャイアンツに限ったことではないが、球団の社長は親会社からの天下りであり、しかも出世コースから外れた者が就任するという。(魚住昭著『渡邉恒雄 メディアと権力』二六五頁)これもまた選手を、ひいては球界を軽視する意識の現れである。
 FAの弊害はそればかりではない。FAによる人材のジャイアンツへの一極集中化は、戦力の不均衡を再び促進し、その一方で育成を怠り、次世代の人材を腐らせている。しかも、制度上ジャイアンツから人材が出て行きにくいようになっており、ますます人材を損ねる結果を招いている。その結果球界全体の技量を低下させ始めている。
 さらには逆指名制度である。この制度は高校生以外のドラフト一位・二位指名に限り、選手の側から意中の球団を逆指名出来るというものである。
 この制度は、戦力均衡というドラフトの意義を完全に破壊した。そもそも初めから意中の球団に入団出来るのであれば、FA制度の意味もなくなってしまう。
 しかも、逆指名の権利を上位一、二位指名の選手に限っていることで、特定の選手の力が増し、完全自由競争に比べても、著しい契約金の高騰を招いている。表向き契約金の額は制限されているものの、事実上は野放し状態である。さらには高校生に逆指名の権利を認めないことで、逆指名の権利を得るべく指名を拒否し、社会人や大学を迂回する者も現れている。この制度により、有能な人材がますますジャイアンツに集中し、しかも逆指名を当てにしての指名拒否により、プロでの経験を積めず、その才能を発揮出来ないまま終わる危険性も指摘されている。
 しかも、メディアを握った讀賣による偏向報道もあいまって、注目されたいばかりに讀賣への移籍を希望する者はあとを立たず、そして遂には日本球界に見切りを付ける者さえ現れている。既に讀賣が拠り所とする人気も、日本一になったにも係わらず、ジャイアンツ戦のテレビ視聴率の低下など、野球離れが見え始めている。これが讀賣の補強の齎した「結果」である。
 また、本来ジャイアンツの上位に立ち、その横暴に断固たる態度を取らなければならないセ・パ両リーグ、そしてコミッショナーも、現実には渡邉氏の下風に立っている。
 川島廣守コミッショナー、高原須美子セ・リーグ会長は野球の素人であり、一連のジャイアンツの不祥事に対し、全く手を打てなかった。
 渡邉氏は代理人制度に対する恫喝に見られるように、一球団のオーナーに過ぎないにもかかわらず、事実上己が球界を牛耳る者として振る舞い、そして周囲は唯唯諾々と従っている。パ・リーグの原野和夫会長が勇退したが、その原因はオリンピックに選手を派遣するのに積極姿勢を取ったのが、選手派遣を嫌った渡邉オーナーに嫌われたからだとする報道が一部でされた。この報道が真実であるかは不明であるが、一オーナーが、その上位の人事を思うが侭に出来ると認識されていること自体が問題である。渡邉オーナーは、球界の秩序に不満があるならば、相応の正当な手続きを取って表明するべきなのに、それをしない。己が法であるかの様に振る舞い、その行動を正当化している。
 今年五月、セ・リーグの橘高淳審判が、判定を不服としたドラゴンズの選手、監督に暴行を受けた事件があった。野球規則に従えば、この中で橘高氏に負傷させた大西崇之外野手は、永久追放に処せられても文句は言えなかった。
 しかし実際には、セ・リーグは出場停止と制裁金の処分を科する以上のことは出来ず、当初告訴を表明していた橘高氏も、結局何も出来なかった。それどころか橘高氏は、ジャイアンツに有利に判定を繰り返しているとして「ジャンパイア」と揶揄され、暴行を受けたのも当然という意見が続出する始末である。
 こういうことになるのは、橘高氏自身の所業もさることながら、審判を束ねるセ・パ両リーグが、讀賣の横暴に対しあまりにも無力であり、それに対する不満が鬱積していたからである。その矛先が、審判に向けられても不思議では無い。そもそも、一球団の上位であるリーグに所属しているはずの審判が特定球団に味方していると公然と囁かれていること自体、リーグの無力さを象徴しているではないか。だが、川島氏も高原氏も、それに気づこうとはしない。讀賣の傀儡に甘んじているのである。
 こうした状況で、野球規則という「法」が有るにもかかわらず、渡邉オーナーはそれを公然と無視して横車を押す。その結果、選手や監督、コーチらもそれに習う風潮が生まれている。朱に交われば赤くなるというが、渡邉氏以下の悪行を見るに、球界はまさに無法地帯と言わざるをえない。
 讀賣ジャイアンツは、当初から人材の引き抜きなどで、たびたび問題を起こしてきた。たとえば戦前のビクトリー=スタルヒン選手はロシア人の父親が殺人事件を引き起こして服役していたが、讀賣(当時は「全日本軍」)は旭川在住のスタルヒンに全日本軍に入れ、さもなくば北海道庁や警察を動かして父親を国外追放にするぞと脅して入団させた。その後も別所毅彦選手の入団をめぐる騒動や先程挙げた江川事件など、その事例は数え切れない。
 それでもジャイアンツが現在のプロ野球の基礎を作り、当初は讀賣のライバル紙である中日を誘うなど、他球団の育成にも気を配ったことは事実である。多くの問題を引き起こしてもなお、「球界の盟主」と呼ばれたのはそのためだった。だが自らも野球に精通しているとは言い難い渡邉オーナーのもとの今のジャイアンツは、過去の名声にすがり、他球団の資源を食いつぶしている存在に過ぎない。
 このような状況でジャイアンツが優勝を重ねた所で、野球人気は衰え、新しい人材は育たず、そしてコミッショナーも無力という状況では、野球そのものが社会的信用を失いかねないが、そうなったら渡邉オーナーはどう責任を取るのか。球界の発展を全く考えず、付けを後世に回す驚くべき無責任な態度である。新しい千年紀を迎えるにあたり、これ以上プロ野球界の惨状を見過ごすわけには行かない。
 従って、渡邉氏をプロ野球界から永久に追放することが、プロ野球界再建の第一歩であり、公正で活力あるプロ野球界を実現する唯一の道であると判断するに至ったのである。
 以上が、不信任の理由である。


あなたは人目の不信任案審議者です。


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